貝掘りは方言だった

一応、仕事上での話をする相手によっては標準語を使えるつもりでいた私でしたが、非常に恥ずかしい思い込みがありました。それは、まだ20代の頃に頂いたイラスト仕事で、潮干狩りをしている風景を描くことになった時のことです。

私が育った小豆島では、親や友達はもちろんのこと、自分の周囲で潮干狩りなどという言葉は聞いたことはなく、本とかTVで認識している程度のものでした。

現在は、天然の貝そのものがいなくなったと地元で暮らす同級生に教えられ、信じられない思いだったのですが、子供の頃は夕方になると近くの海岸へ行き、親子で貝掘りをすることも多かったし、うち
以外にも潮干狩りをしている親子連れの姿はよく見かけました。そんなものだから、日常的に使い慣れていた呼び方が「貝掘り」だったのです。

その頃にどう認識していたかと振り返ると、潮干狩りは町の人たちのレジャーのようなもので、レジャーというよりも生活に密着した自分たちの行為は貝掘りだったのだと思います。

仕事の場で、こんな感じでしょうかと書いたラフスケッチで打ち合わせをしていて、「貝掘りはこんな感じですよね。」と私が言うと、そこにいらした全員が「は...?」という顔をしてシーンとしてしまったので、よそでは通じないことを初めて知ったのでした。

2004年頃のゴールデンウィークに帰省した際に、私の母がうちの娘を「貝掘り」に連れて行くと言いだしたのですが、小豆島と同様に海の幸に恵まれているはずの東かがわ市でさえ、あらかじめよそから運び込んだ貝を砂浜に撒いておいて、客は料金を支払ってそれを掘るという方法に切り替わっていました。

子供の頃は、数回で飽きてしまってたし、カレーライスと言えば肉の代わりに貝ばかりというのも嫌だった私にとって、貝掘りは親に連れられて行く義務的な行為になっていたのですが、当時はどこででも、そして誰にとがめられることもなく楽しめた、島の暮らしの中での極自然な風景でした。

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